Ｈ１６，０２，０１
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つい先日大学の先輩から、春休み中アジアにバッグ一つで貧乏旅行をしに行ってくるという話を聞いた。 　その人の話を纏めると、『日本なんかで過ごしていても自分は駄目になる。それに自分はいろんな事を経験したい。なんか外国に行くと自分が変わる気がする。アジアを友人二人で旅行してでっかい男に成って帰ってくる。』といった感じだ。 　そう、俗に言うバックパッカーってやつだ。 　ちなみに私は、貧乏旅行で自分を変えようとする方々は正直言ってあまり好きでは無い。 　まあ若いうちに海外を旅行するのは確かに良い事だろう。 　日本では経験できないようなことを色々経験する事ができるし、色々な人に触れ見聞を深める事はとても大切な事であり素晴らしい事である。 　少ない荷物と財産、そして周りの誰にも頼る事の出来ない状況は、自分自身できちんと生きる力というものを学ばせてくれるはずだ。 　しかし、どうも私はこの『海外にいったらなりたい自分に変われる』という考え方が好きになれない。 　確かに人間は経験によってどんどん変化していく生き物である。 　小さな一瞬の出来事でも簡単に変化してしまうものだから、海外で生活なんかした日にはそれはもう様々な変化を起こすだろう。 　というか『変わらない』事など人間はありえないのだ。 　そう、確かに旅をする経験は人を変える。 　しかし『なりたい自分に変わる』という事は本当にそんな簡単な事なのだろうか？ 　言ってしまえば、確かに変わるやつは変わるのだ。 　けれども『旅をすれば自分が変えられる。本当の自分が見つかる気がする。』とか言っている奴等を見ると、どうも自分の育成ゲームのようなモノので『“旅イベント”＝“人格変化”』みたいに単純に考えているようにしか思えない。 　そんなイベント的な要素で思い通りに性格なんかが変えられるとしたら世話が無い。 　それでは世の中全てが理想通りの世界になってしまう。 　また端から見たら十分過ぎるほど俗物の癖に、アジアかなんかで人の死ぬ瞬間や極貧の社会を見たという経験くらいで、世を達観した気分でいるやつを見るととても腹が立つ。 　それこそ、お前の『旅イベント』は神様やら仏様へのクラスチェンジイベントか？ 　なんだろう、ちょっと上手く纏められなくて申し訳ないのだが… 　海外に行ったら自分が変われるとか思っている皆さん。 　あんたら、本当にそこまで自分自身を単純なプログラムみたいに考えていて良いんですか？ 　どうせそんな考えで海外を旅しても、おそらくあなた達の根本的な部分はそんなに変化無いと思いますよ。